サグラダ・ファミリアが長く未完成のままの理由は、複数の要因が重なっているためです。以下に主要な点をわかりやすく整理します。
- 資金不足と資金運用の難しさ
- 寄付によって資金を賄う設計のため、資金繰りが厳しい時期には工事が止まることがありました。資金不足は建設スケジュールに直接影響し、長期的な停止を招く要因のひとつです。
- 手作業の複雑さと設計の断片性
- ガウディの設計は直線が少なく、塔や壁の形状が複雑で、現場の職人が理解して再現するのに時間を要しました。手描きの図面だけで進行する局面が多く、装飾も多くが手作業だったため、作業効率が低下しました。
- 設計資料の喪失と資料不足
- ガウディ亡後の設計資料の多くがスペイン内戦の火災等で焼失しており、以降の工事は資料不足のまま推進される場面がありました。これが計画の再現性と進行速度に影響しています。
- 設計責任の継承と初期計画の不確定性
- 初期の設計を引き継ぐ過程で、後継者間の解釈の違いや方針の揺れが生じ、工事方針の調整に時間を要することがありました。これも完成時期を遅らせる要因として挙げられます。
- 公式許可と法的手続きの遅延・問題
- 一部の建設許可の更新手続きが適切に行われていなかったことが判明し、後年の法的調整と和解が必要となりました。これが工事再開のタイミングに影響しました。
- 工期の長さと現代的な再開
- 世界遺産登録や観光収入の増加など、現代の資金確保や交通整備等の目的で、工事を段階的に進める方針が採られてきました。これにより一括着工ではなく、長期的な段階施工となっています。
補足的な背景
- ガウディの死去（1926年）以降、彼の設計意図を厳密に再現することが難しくなり、時代の変化に合わせて技術的・美術的な解釈が必要になりました。その結果、工事の進行ペースが一定せず、未完成の状態が長く続く要因となりました。
- 近年は工事の進捗が大きく前進しており、完成時期は公式に2026年を目標とする発表なども報じられています。ただし、過去の遅延要因を完全に解消しているわけではなく、今後の施工状況次第で再評価されることがあります。
結論
サグラダ・ファミリアが長年完成しない主な理由は、資金の不安定さと手作業中心の複雑な設計・装飾、資料の喪失と法的手続きの遅延が重なっていたためです。現代の技術と財政資源を投入して徐々に工事を進める方針へと移行し、完成時期はこれまでの経験と現在の進捗状況によって左右されます。なお、最新の公式情報を随時確認することをおすすめします。
