要点を先に結論として述べると、ワクチン接種後の抗体産生には次のような一般的な傾向がみられます。
- 初回接種後はIgMが先行して産生され、徐々にIgGへ移行・増強します。IgGが血中濃度の主力となる時期が多いです。これらは多くのワクチンで共通の免疫反応です。
- 同じワクチンを複数回接種すると、抗体の産生量が増加するケースが多く、長期的な免疫記憶の形成が促進されます。
- ワクチン内の抗原提示は主に樘(樹状細胞)やマクロファージなどの抗原提示細胞が行い、初期反応はそれらの細胞が関与します。好中球は主な抗原提示はしません。
以下、補足とよくある誤解の整理です。
- IgAは主に粘膜免疫で重要ですが、血中抗体産生を問う設問ではIgAが最初に産生される抗体とはなりません。IgMが最初に増加することが多く、その後IgGへ成熟します。
- IgMは初期反応で一時的に高値を示しますが、血中濃度が最も高くなる抗体はIgGであることが多いです。IgGは血清中で長期的な防御を担います。
- 抗原提示の主体は好中球ではなく、単球/マクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞です。
もしご自身の状況や特定のワクチン(例:インフルエンザ、COVID-19、B型肝炎など)について知りたい場合は、対象のワクチン名を教えてください。対象に応じた免疫応答の典型的なパターン(どの抗体がどの時期にどれくらい出やすいか、ブースターの影響など)を、より具体的に整理してお伝えします。