腹部の触診で適切なのは「疼痛のある部分は最後に触れる」です。 これは腹部フィジカルアセスメントの基本的な順序として広く推奨されています。以下、要点を整理します。

• 基本的な順序と理由
  • 疼痛部位を初期に触れると患者が緊張して腹壁が硬くなり、診断の精度が低下する可能性があるため、痛みの部位は最後に触診します。

* 多くの教育資料では視診・聴診・打診の順で進めることが多いですが、腹部特有の配慮として触診は痛みの影響を避けるため遅らせることが推奨されます。

• 具体的な実践ポイント
  • 仰臥位で膝を軽く屈曲させ、腹壁の緊張を和らげる姿勢をとります。

* 手は温め、優しく、浅い触診から始めて徐々に深い触診へ移行します。痛みの部位は後回しにします。

* 触診時は患者に呼吸を合わせてもらい、深呼吸で腹壁が緩むタイミングを活用すると良いです。

• よくある誤りの指摘
  • 深い触診を痛みの部位から先に行うのは避けるべきです。痛み部位を先に触れると痛みが過剰反応し、正確な評価を妨げます。

* 聴診を腹部触診の前提として実施する資料も多いですが、腹部特有の配慮として、触診は痛み部位を避けてから行うケースが多いです。

• 教材・参考例の一部
  • 基礎的な手技として腹部の9領域を意識して触診すること、打診・聴診の順序を考慮するといった記述が見られます。

* 国家試験対策の解説では「疼痛のある部分は最後に触れる」という選択肢が正解として扱われるケースが多いです。

要点をまとめると、腹部の触診で最も適切なのは「疼痛のある部位は最後に触れる」ことで、痛みのある部位を初めに触れると腹壁の緊張で評価が乱れるためです。その他の実践要点としては、仰臥位・膝軽く屈曲の姿勢、手を温めて浅くから順に触診する、痛みの部位を触る前に患者の痛みや呼吸を確認する、などが挙げられます。